スタジオでのリハーサルの間も、みんな半分くらいは震災に関しての話をしていたような気がする。もちろんメンバーそれぞれ考えることはあっただろうし、灰二は東北の生まれだし。でもシンもアベちゃんも、だれも「ライヴはやめよう」ってひとことも言わなかった。「こういうときだからやる」とか「ボクたちミュージシャンだからこれしかできません」ということじゃなくて、「いつも通りやろう」ってみんなで話しあった。
もしかしたら、何かに異議申し立てをしたり、誰かを声高にののしる事で、明日生きていくための勇気が出るのならばひとまずそれでもいいかもしれない。でも、うちのベランダのローズマリーの上にも等しく降る放射性物質のように、もはや「大人」は誰もが無実じゃない。子供たちから借りてるこの世界に対してね。
でも思うんだよ。パンドラの箱はとっくに開いてしまっていたけれど、箱の中にひとつだけ残っていたものの名前を忘れてはいけないんじゃないかって。
ライヴに来てくれてありがとう。結局のところ、救われたのは俺のほうだった。何度も言うよ。有り難う。