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photo by Lucy

3月28日下北沢CLUB251のライブでサポートギタリストとしてプレイした中村タロウ
5月15日の渋谷La.mamaのライブから正式メンバーとして THE VANILA に加入することが決定した。

インタビュアー:
「ライブでは“渋谷でナンパした”と紹介していたが?」
灰二:
それは本当なんだ(笑)。知人の紹介で、タロウちゃんのライブがあるっていうんで見に行って。
タロウ:
そうですね。俺も前もって見に来てくれるって話は聞いてて「あ、絶対この人だ!」ってステージ上からもわかりました。
灰二:
始まる前に、楽屋に行ったんだっけ?
タロウ:
いや、終わってから。俺が結構酔っ払ってる時(笑)。
灰二:
その時に初めて会ったんだけど、実際ライブを見た後に話したからちょっと印象が違ってたよね。もっと、こう大人っぽいというか。話して子供っぽかったという訳じゃないんだけど。
タロウ:
若作りすんな、と。
灰二:
いやいや。ライブが大人っぽかったって事。第一印象ってすごく大事なのね。タロウちゃんのやっていたバンドを見た時に、一人だけズドーンと飛び抜けちゃって、パッといきなり目が行く。いつもの感じで動き回ってるわけじゃないんだけど、やっぱりオーラがね。変な話、ライブ見るまでタロウちゃんの顔も知らなかったんだけど、でも過去の経験で、パッと見て「あ、決まり!」ていうのがあるのね。俺の中で凄く想像力が膨らむヤツは、だいたいイイの。コイツはこういう事をするだろうな、曲を聴けばだいたいのプレイだとか、コイツ動けるなとか、そういうのわかるから。
タロウ:
そう言ってましたもんね。
灰二:
ライブ後、THE VANILAの状況とか話して、当たり前なんだけど「一度音源聴かせて下さいよ」とか、「リハ1回入ってみましょう」とかあるんだけど、俺なんかもう、まどろっこしいから「やろうよ、もう!」「ライブやればいいじゃん!」ってこう無理やり誘って、タロウちゃんは「あ、あ、ハ、ハイ」って。
タロウ:
THE VANILA のサイト見て、なんとなく音楽性はわかってて、今まで自分がやってきた事のないロックというか。でも、楽曲聴いて言葉では表せない共通点があったりっていうのを感じてて、ちょっとやってみたいなって。で、その日でしたっけ?
灰二:
いや、その次。その次にもまた、タロウちゃんのライブに行ったんだよね。そんでタロウちゃんは、2回も連続して来て何なんだろう? この人って。わかってないわけよ。何にもね。俺が見に行った時、ライブ終わってもタロウちゃんが汗もかかずにサラサラしてんのよ。そんで「お前違うんじゃねーの」って。2回目で「お前、今日汗かいてねーじゃん!」って声かけて。やっぱり出してない部分って物凄くあるんだろうなって。
タロウ:
でも2回目にわかられて「コワっ」とも思いましたよ。「スゴっ」って。「あ、わかってる」って思った。自分も自覚してた事だから。そこで一つ共通する部分が。
灰二:
2回目にライブを見にいった後、ライブハウスのロビーで3時間ぐらい話していて、まぁお互いの事、バンドの事、音楽的な事とか話して、音楽でいえば、好きなものが同じだったり、姿勢とか考え方とか、共通する部分があったりして。簡単に言うと熱くてナンボじゃない?タロウちゃんの時代の人っていうのは割とシレっとしてやるのが、かっこいい時代だったりするからさ、その中で、魂系というか……(笑)。
インタビュアー:
「それをステージ上で動いていないタロウさんに感じた?」
灰二:
そう。
タロウ:
CIVCIV (BOWL 解散後タロウが作ったバンド) では熱くしたかったんだけど、熱くなりきれなかった部分があって。結局 BOWL のライブ見て戴いてわかると思うんですけど、僕、結構熱かったと思うんですよ。で、演奏者は何かを訴えようと思って演奏しているわけで、その人間が汗一つかかずにやっても、やっぱりお客さんには何も伝わらないと思うし。たとえばもうすぐオリンピックだけど、汗かいて競技している人を見ると、やっぱり伝わってくるものとか感じるし。音楽もやっぱり一緒だと思うんですよ。何かを伝えるために。
灰二:
熱いというか、あとは、真剣さというか。うちのバンドってライブは2ヶ月に一度のペースだけど、その2ヶ月の間にゆっくり振りかぶってライブの日に刀を振り落とすようなことをやってるんで(笑)、相当濃縮されてるから、そういうスタンスに合うんじゃないかな、と。やっぱりライブって今、対バンで30〜40分くらいしか出来ないから、そこで全てを見せることは出来ない。だけど一つくらいだったら見せることが出来るわけ。何をみせるかっていったら、エモーショナルな部分を見せるのが一番伝わる。タロウちゃんもさっき言ったけど、伝わらないと意味がないから、何にも。
インタビュアー:
「タロウさんが見せたいモノ、伝えたいモノと THE VANILA が伝えてるモノは近かった?」
タロウ:
それはたぶん音楽をやってる以上、近いもなにもみんな一緒だと思うんですよ。自分達のメッセージを伝えるって事だから。伝えようとするスタンスが一緒だって事であって。
灰二:
だから、何を伝えるかって事だから。たまたま、うちではエモーショナルな部分を伝えるって作業をしているだけであって。2回目のタロウちゃんのライブの後、別の日に1回飲んだんだよね、2人で。これはタロウちゃんがよく言うんだけど、タロウちゃんはこうやって飲んだりすることもリハだって言うのね。音を出すって作業は会話と一緒だから。例えば俺と伊藤は、もう20代の頃から知ってるから言わないでもわかることが多いわけ。だけどタロウちゃんとは、ドンドンくだらない話もして色んなものを共有して、それがまた違う意見もあるし、それはそうだねってのもあるし。
タロウ:
さっき、飲むのもリハって言ったけど、会って何気ない会話でわかるだろうし、音出せば凄く一番わかりやすいし、もちろん音を出してわかんない時は聞くけど。
インタビュアー:
「タロウさんのステージングに突出したエモーショナルさを見ている側は感じるんだけど、そう言われる事に対してタロウさんはどう思う?」
タロウ:
自分から出てくるもんだから別に抑える必要もないし、THE VANILA では、もっと行きまっせ!って。別に自分が行ったとしても、もっと行く人がいるから。さっき灰二さんも言ったけど、コイツが来たら、俺も行くとか、そういう駆け引きとか、相乗効果だと思うし、エモーショナルに動くとか、そういうアクション的な部分で表現する人もいれば、ま、音だけで駆け引きする人もいるだろうし。
灰二:
タロウちゃんはステージに立ってる時の色が他の人と違いすぎんだよ。濃いんだよ。
インタビュアー:
「初めてスタジオに入って音を合わせた時の感触はどんな感じだった?」
タロウ:
リハなのにめっちゃ俺も汗かいて、灰二さんも凄くアグレッシブで「コレだなー」みたいな。
灰二:
俺はもう、リハーサルはライブのリハーサルだから、ライブとほぼ同じ感覚でやりたいの。10畳ぐらいしかないスタジオで俺とタロウちゃんのギターのネックがガシガシぶつかっちゃうわけ。
タロウ:
初めは他のメンバーに会って、さすがに緊張しましたけどね。3時間の最初の1時間ガチガチだったな。初めてだし、俺年上の人とバンドを組んだことがなくて……。バンドやる以上年なんて関係ないんですけど、やっぱり年上ってわかってて、初めてのリハーサル。そりゃ人間緊張するかな(笑)。ガーっと音出して、1時間後ぐらいには……。
灰二:
もうだってスタジオ入って1時間後位には「灰二さん、ココこうした方がいいんじゃないんですか?」って、いきなりアレンジの話。「ココ変えた方がいいッスよ」みたいな。リハはね、前回のライブは2回だけだった。しかも、連続3連荘。リハ、リハ、ライブって3日間。集中型。
タロウ:
俺、ほんとに大丈夫なのかなって……。自分自身もそうだし、バンドとして(笑)。今までのバンドでは週2回とか1ヶ月に10回とかリハ入ってたんで、大丈夫なのかな? って。けど、やっぱり大丈夫だったのがびっくり。というのは、みんな落としどころが共通なんだろうなって。
インタビュアー:
「それは他の人だったら違う? THE VANILA だったから落としどころが一緒だった?」
タロウ:
意識かな。
灰二:
普通さ、弾けて当たり前なの。そこから何やるかで、あと感覚だったり。うちのバンドってわかりやすいから。バンドによっては、全員が個々を主張するみたいなのあるけど、THE VANILA は俺に集っているだけだから。大前提としてボーカリストがいるって事がこのバンドのコンセプトだったりするからね。こうすれば、歌が生きる、歌いやすいだろう、格好良くなるだろうってのが図式としてあるし、みんなの意識の中にあるから。その中でメンバーが自分をどう出していくか。当然タロウちゃんにも言ったしね。
タロウ:
基本、そのスタイルだと思うんですよ。音楽って歌だから。それはずーっと、僕も前のバンドの時から歌あってナンボって常に思ってきた。それ以上に THE VANILA っていうのは、灰二さんのテンション感で曲がガラッと変わったりとか、それが凄くあるんですよ。
灰二:
だからリハで俺がダメな時はダメよ(笑)。
タロウ:
逆にダメにさせないようにどうやるかみたいな。どう持ち上げて、どう攻めてくか。
灰二:
これからはタロウちゃんがいるから、俺が例えば空回りしたライブでも、タロウちゃんが逆に押し戻すというか「オイ!」って言って引っ張ってくるって事も出来るから、それは、バンドとしては強力な武器になる。

(2008年4月都内某所にて)

インタビュアー:sumiko www.stay-or-go.jp